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2024年02月04日

【座談会】2024年を語る 家庭用品業界7人 ④

 

 

 

 


【2024年はこうしたい】

橋本 社長就任から1年半が経ちました。中山福の経営戦略は「効率化戦略」として①物流体制の強化②卸売業の拡充、「成長戦略」として③ものづくり事業の強化④EC事業の拡大、4つ経営戦略を掲げています。卸売業は時とともに激しく変化しており、10年前と現状を比較対比することはできません。

社員・パートを含め1000人の従業員の生活を預かっており、利益確保は重要な経営課題の1つです。取引メーカーさんの商品をきっちり売っていくことが大前提です。これをシンプルに、確実にやり遂げていきます。

変容する消費者ニーズの把握に努め、消費者へ商品を届ける懸け橋としての卸売事業の存在価値をこれまで以上に高める。ものづくり事業、EC事業等を一段と強化していくことで、厳しい経営環境の変化に耐えうるビジネスモデルを構築していることころです。

EC事業部を2022年2月に立ち上げましたが、グループ会社でインターネット通販を所有しながら、ほとんど活用をしていなかった。23年7月から関東支店で個人配送を始めました。今後は当社の支店・営業所の拠点を活用していくことで、運送問題に対応していきたいと考えています。

ものづくり事業は、これまで創業98年間の延長線上で、マーケティング活動や消費者ニーズの把握などに課題もありました。これらを改めることから、マーケティング分野に強い社員を配置し、客観的で説得力のあるデータに基づいた商品開発・営業提案を展開していきます。

 


猪又 2024年、イノマタ化学は販路を広げたいという姿勢です。時代とともに取引先は徐々に変わっていきます。通販ネット販売会社との取引は10年前までほぼ皆無でしたが、取引中の問屋さんとの関係を大事にしながら、新興の小売店とは直接取引を始めています。100円ショップとは違った販路へ広げていきます。

特定の企業に取引量が偏り、売上額が突出しないよう、なるべく均等になるようにしたい。自社のスタンスを守っていくためであり、経営上、長年、留意していることです。

 


山中 ピーコック魔法瓶工業は円安の環境のもと、海外展示会への出展機会を増やすなど輸出にも力を入れ、この分野の売り上げが伸びています。ただ、ガラスびんの供給が足りず、存分に伸ばしているとは言い難いです。

一方、国内販売を強化する狙いからピーコック魔法瓶工業では3年前、マーケティング部門を立ち上げました。既存の販路ではどういった商品を欲しがっているのか、消費者の生活に迫ることができる商品企画開発を進めています。

リアル店舗での提案、展開時期、商品の見せ方、アピールの仕方などが課題です。取引先代理店さんらとの協働で販売強化を図っていきたいと考えています。

商品を企画開発する際、これまでと同じスタンスでは作れません。まったく違った視点発想が求められているという認識です。
営業面では価格競争が依然激しいものの、従業員の待遇改善や賃上げにも対応しなければなりません。

 


楠本 シンコハンガーは、今年1月には新型の成形機、取出ロボット、また各業務フローの簡略化を図る付帯設備の導入や生産管理システムの導入、レイアウト変更を実行、バックオフィスの強化を図っていきます。

100周年を23年2月に迎え、メーカーとしてお客様のご要望にお応えできているか、どう応えていくのかを再度見つめ直し、お客様のご要望に沿った多角的な提案ができる環境を作っていきます。

物価高、賃上げの問題についてもこうした施策を続けることで対応し、攻めの姿勢をもって取り組む。今だからこそ競争力を持った提案も可能にしていきたい。

結果は別として、でなければ外国資本の競合メーカーに太刀打ちできないという危機感があります。その取り組みを実らせるべく今年はこれらの施策を実行していきます。

売上を全体からみると、シンコハンガーは、商材において物価高の影響でということは、全体で見たときには落ち込みは感じられません。ただ、業態でみるとネット通販のように価格パトロールが入り自動で価格補正がかかるような業態はどんどん伸びているが、逆にリアル店舗での売り上げは落ちている。消費者もあらゆる買い方を熟知しているので、全体の需要は下がらず、どのチャネルで買うのか、ということではないかと思っています。

ネット販売での分母拡大、依存度が高くなっていく中、メーカーとしてどう販売コントロールをしていくかが課題です。

創業から100年が経ち、従来のビジネスモデルからの転換が求められるタイミングということもあり、とても大事な一年だと考えています。お客様に寄り添い、お客様が望む商品を作ることのできる環境の整備を徹底していく。2024年はメーカーとして足元をしっかり固める年にしたいと思っています。

 


池永 池永鉄工でもインターネット通販での販売比率が大きく占めるようになってきた一方で、リアル店舗での売上が下がりました。両手を上げて受け入れるだけでよいのか、少し身構えています。

リアル店舗では買っていただけないような、遠方のお客からもお声が聴けるのはウエブ販路の魅力の一つです。しかし、維持コストがかさんでいることも現実的な一面で、経営的に合理性があるのか、結論を出しにくい。

メーカーでありながら、小売価格で商売ができるメリットも指摘されるが、当事者としては一概に直売の魅力を語れません。価格ではなく、価値で測れる商品を作っていかなければと考えているところです。ウエブビジネスも単純に収支を測るのは難しい。

価値、それをどう売り込むか。売り場や売り方を念入りに練らないとそう簡単に売ったり物を作れるとは思っていません。消費の風がわれわれの方へ吹いていない状況下、消費者の心をとらえて、価値と魅力を生み出さないと難局を乗り切るのは難しい。

SDGsは当社にとって好機とはとらえにくい。今年、元気に動き回れる年としたい。

 


髙木 高木金属工業は2023年2月に創業100周年を迎えました。これからも利便性や安全性を重視し、消費者のライフスタイルに合わせた商品開発に取り組んでいきます。安さを売りに出来るものはありませんが、安心して販売してもらい、同様に消費者にも安心して使ってもらえるモノ作りが弊社の特色と思っています。

 


鴻池 売り上げや利益確保の安定化は非常に重要な経営課題の1つで、この解決策はカテゴリーの概念を固定化させないことです。かつてタイ、カンボジア、ベトナム、中国などへの出張の際、日本でもヘルメット着用が当たり前になると確信しました。国別、工場別に調査し、得意分野を具体的に調べました。今年2月から発売します。国内得意先からいい感触、評判をいただいています。

スケーターは雑貨、ファブリック系商品が増えるなど、分野を家庭用品だけにこだわらなくなってきました。それよりもお客さんの欲しがるものを追求していくことに重きを置く。

当社の方針を理解していただける得意先が増えてまいりました。仮に、問屋が新しいカテゴリーに取り掛かるにはハードルが高く、新規商材を取り込むには、自己の発想や姿勢、時には組織も変えなくてはいけません。そうした時間や手間、リスクが小さいと思います。

 

【業界関係者へ】
髙木 私自身がこの業界に入って40年が経ちました。当時と比べると、メーカーも問屋も4分の1くらいに減ったと思います。家庭用品業界の市場規模も縮小気味で、その主な理由は少子化ですが、いろんなルートで輸入される安価な海外品の影響で店頭売価が上がっていないことも業界が段々シュリンクしている要因かと思います。

日本経済の失われた30年という言葉をよく聞きますが、私たちの業界は失われた40年と言えるでしょう。互いに窮屈な状況へと押し合うだけの競争を行うのではなく、適正な価格で販売することによって業界全体の収益を上げていかないと、政府が求めるレベルのベースアップも叶いません。
(終わり)