石川・中山福社長インタビュー
メーカーの物語を伝えていく
見本市開催の初日、テープカットであいさつした石川宣博社長は、昨年の中尾会長の死去に触れながら、出展メーカーには、「大きな柱を喪失したが、新しい中山福を作っていくうえで一層の協力と支援を願う」と、共同歩調を強調した。取り組むべき課題を聞いた。
――ベストコのロゴマークを刷新しました。
石川 ベストコは卸売業としての当社の子会社ではあるが、事業は輸入商品の販売のほか、商品企画もしており、メーカーとしての一面も担っています。仕入額は親会社の10%強を占めており、今後、消費者から認知度を高め、信頼性を得ていくにはブランドとして再構築する時期に差し掛かったと判断しました。
「このマークなら、見たことがある」「使ったことがある」「買っても大丈夫」といった消費者の安心がリピート購入につながる。ベストコのブランディングです。
――単に売上や利益の増強ではない。
石川 新しいロゴは単に数字を積み上げていくための象徴ではありません。商品を市場に送り出すための基本姿勢を固めることが目的です。
――年頭、新しい中山福の構築に取り組んでいくと言われました。今回の見本市が対外的な第一幕でしょうか。
石川 取り巻く環境は、価格が安ければ売れていくという時代ではありません。小売業ではバイヤーの仕事量も増え、これまでのように丹念に商品を吟味してもらうことが難しくなってきました。
中山福にとって、あらためて自分たちの売る商品の価値を見出し、それらを「物語」として小売業や消費者に伝えることが重要になってきました。物語といっても話を創作するのではなく、メーカーが実践している事実や実際あることの発見であり、それを他者に伝えることを言います。
今回の見本市規模はメーカー出展が100社を超え、新規に13社が参加してくれました。製造や販売に伴う技術や知恵の集積は取引メーカーの数だけあると言えます。
例えば新潟のあるメーカーではわれわれが販売している鍋のほか、ステンレス製の業務用カートや防災設備なども作っています。
また、ある収納用品メーカーは自動車工場並みの塗装ラインを有しています。
こうしたメーカーの底力を丸ごと受け止める姿勢で臨めば当社の商品分野にも広がりや厚みが増すと考えています。
――見本市で日本製を強調した意味は。
石川 そうした物語は日本製に多く存在するのですが、ことさら日本製を強調するつもりはありません。また、海外からの旅行者の買い物を念頭に置いた商品構成に力を注ぐというわけでもありません。
――あらためて中山福の当面の課題とは。
石川 メーカーごとの製造にまつわる技術の蓄積を知る努力をし、物語を小売業や消費者に伝えていくことです。
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