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2026年07月21日

【インタビュー】岩﨑能久会長 岩﨑章浩社長 岩崎工業

 岩﨑章浩社長(左) 岩﨑能久会長

原料高・電力高・人件費高の課題あり
原油価格や中東情勢を背景に、ナフサ需給への不安が広がっている。特に影響を受けているのがプラスチック加工メーカーだ。日本プラスチック日用品工業組合理事長を務める岩崎工業の岩﨑能久会長と、2025年5月に就任した岩﨑章浩社長に、原料調達の現状や今後の事業展開について聞いた。

岩﨑能久会長の話】
川上と川下との間に目詰まりもありますが、需給バランスが悪いです。ナフサは原油精製で得られる割合が限られており、需給調整が難しい。政策的な需給調整が難しいのが現状です。

原油は産出国によって成分が違います。日本のニーズに適合しない原油も入り混じており、こうした事情を国は説明しなければなりません。

原料メーカーの関係者も「潤沢には入ってきていない」と言う。川上に近い方も同じような認識でおられる。シンナーや塗料など一部の工業用材料では、価格以前に調達が難しい状況です。

私たち成型メーカーの原料入手について、行政は、「発注量を通常の1・3倍~1・4倍上積みしたため、不足に陥った」と言いますが、現実は私たちの工場に百パーセント納入されているという状況ではないでしょう。

私たちメーカーは原料の余分な在庫はしません。2月末の中東情勢の緊迫化し、在庫状況は3月末一番ひどかった。材料調達が難しくなる中、行政側が説明する「通常より1・4倍程度の発注」するメーカーはほとんどない。それをできるのは力のある企業だけでしょう。

中部地域のメーカーは大半が自動車関連の製品を作っており、材料が入手できなければ受注品は納品できません。

独自のブランドをメーカーとして今、するべきことは適正な価格改定です。その額は応分の妥当な価格という明言が重要です。新価格の算出根拠の説明です。原材料の価格上昇値や構成比率、マージン比率などなど、データを示すことが大事でしょう。

新価格を受け入れてもらえるか否か、交渉力もあるが、まず交渉のテーブルに乗せることが必須条件です。

原料価格は今、瞬間的に倍以上でした。プラスチック製容器のふたのポリエチレン樹脂はもともと供給がタイトだったため、新規参入も少なかった。過去一年程度は需給のバランスもとれていた。ポリプロピレン樹脂は需給バランスが多少崩れているが、ポリエチレンほどではありません。

問屋主催の見本市には新価格で臨みます。全商品の出荷単価は20%上昇を予定しています。4月末、決断し、8月1日を目途に実施。半期に1回、原価の見直しをしています。

あと1つ。原材料の調達が多様化し、現在、その比率は国内品が7割、海外品が3割。場合によっては6対4もあります。調達先は中近東、ベトナム、台湾、韓国など。国内外品とも品薄な上、円安事情もあり、海外品はさらに上がっています。最新の生産設備なので品質は日本製と比べても遜色なく、国産品をしのぐものもある。日本のユーザーメーカーの品質チェックが世界の中では最も厳しい。

この業界は三重苦にあります。1つ目は髙原材料。2つ目は成型機稼働のための電力料金の高騰で、補助額の減額が逆風の状態ですが、2年前、三重県の松阪工場は太陽光発電システムを導入しました。3つ目は人件費の上昇で、技能実習生を含む人材確保コストも増加しています。

今回の物価高騰やナフサ不安という異変が私たちへ教訓を与えたと受け止めています。つらい状況の中、次の一手はどこに向かうのでしょうか。

 

岩崎工業が新分野に
【岩﨑章浩社長の話】

主力商品分野は、保存容器や弁当箱、なかでも冷水筒の出荷が好調です。気候変動のため夏期が長くなり、市場規模は拡大し、年間出荷本数は数百万本に至ります。人気機種は欠品発生もあるくらいで、シーズンごとに新モデルを投入しています。

ネット販路へ力を入れているのは、24時間無休、夏冬を問わず販売できます。当社推定で、冷水筒の市場占有率は自社ブランド品・プライベートブランド品を含めて70%。強い商品分野で新しい市場に力を注ぎ、シェアの拡大をしていきます。

冷水筒の製造は競合他社の導入事例は少ないインジェクションブロー成型機を導入しています。金型など投資額は大きいが、これまで連続的に導入してきました。商品はきめ細かな改良を継続的にすることがポイントで、パッキンや汚れ予防、手入れのしやすさ、素材の優位性、さらに金型や専門技能の成形技術者の育成など、連鎖的に取り組んできました。

当面、冬シーズン向けや通年型商品として、個人専用の商品化に取り組んできました。プラスチックやステンレスを使用したボトルを発売予定。海外生産として、今年夏の終わりごろから発売します。プラスチックを積極的に起用しました。保温・保冷機能があって、落下・衝撃性にも強い。

もっと消費者に寄り添う商品開発を念頭に置いています。パーソナル商品分野をはじめ、消費者の暮らしに役立つ便利に使っていただける、価値のある商品を作り出すメーカーを目指していきます。

ずっとプラスチック製品を開発してきた。他社製品と違いが出せているか。既存品の分類では付加価値が見出しにくい。より価値のある商品を消費者に届けたい。プラスチックだけに固執せず、ステンレスなど材料の広がりも想定しています。