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2022年09月10日

生活雑貨,家具,インテリア 2.2兆円 21年度EC市場規模


BtoC-ECの市場規模
2兆2752億円(6.71%増)

経済産業省が2022年8月発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、生活雑貨、家具、インテリアの2021年のBtoC-ECの市場規模は2兆2752億円となり、対前年比で6・71%上昇した。EC化率は 28・25%である。

BtoC-ECの売上の内訳は、約7割が家事雑貨、家事用消耗品、残りの約3割が一般家具、インテリア、寝具類である。

生活雑貨、家具、インテリアのカテゴリーは、家事雑貨(食器台所用品等)、家事用消耗品(洗剤やティッシュ等)、一般家具、インテリア(カーテン等)、寝具類により構成される。

コロナ禍以前より
5・7%増加

 総務省統計局家計調査によれば、新型コロナウイルス感染症拡大下で21年1世帯あたりの「生活雑貨、家具、インテリア」の年間平均支出は8万1247円と、20年の8万3196円と比べると減少したが、新型コロナウイルス感染症拡大前である19年と比較すると5・7%増加した。

20年は新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、外出を控える行動により普段使いの日用品や雑貨のネットでの購入が、自宅でのストック需要の高まりとともに大きく増加したものと想定されるが、21年は前年に比べるとその伸び率は鈍化したものとみられる。

家事雑貨、家事用消耗品は取扱品目数が非常に多く、また個々の商品単価が安価であるため、販売側の立場では品揃えとコストとのバランスが課題と想定される。

送料との見合いから単価の低い日用品のまとめ買いのニーズや、他の商品の購入に伴う「ついで買い」に支えられている面も強いと想定される。

近年、購入頻度の高い消耗品についてはサブスクリプションの利用が広がっており、EC市場規模拡大への寄与が期待される。

また、食品分野でも新たな展開として注目されているクイックコマースが日用品分野においても取り扱いが拡大しているという動きもあり、新たな需要の取込みに繋がる可能性がある。

家具やインテリア商品について、20年はステイホームによる需要や特別定額給付金の支給で家具やテレワーク向けの商品を中心に販売が増加したが、21年は巣ごもり消費の一服感もあり市場規模の伸び率は緩やかになったと見られる。

家具やインテリア商品は、ものによっては物理的なサイズが大きいため、豊富なラインナップを取り揃えるには売り場や在庫の制約がある。また、各家庭の事情に合わせてサイズ面や色に関して詳細なニーズが求められるといった事情もある。

この点、ECサイトでは同じ商品の色違いやサイズ違いの掲載が可能となり、また家具類を利用した部屋のコーディネートもパターン別で紹介することができる。従って、家具やインテリア商品は EC販売と相性の良いカテゴリーと言える。

また、拡張現実(AR)の技術を使い、家具やインテリア商品を自宅の部屋に置いたイメージをスマートフォンで確認できる機能を提供する事業者も増えている。

この技術の活用により、購入前に実店舗で実物を確認したいといった需要が根強い家具やインテリア商品について、部屋の広さや雰囲気に適しているかを把握しやすくなり、ECでの購入の抵抗を薄める一助となっている。

さらに、AIを活用しECサイト上で消費者の好みに沿った商品を提案する技術も進化しており、キーワード検索では辿り着けなかった商品の提案により、新たな需要の発掘が期待されている。