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2024年12月31日

❷ 座談会 家庭用品業界の今 問屋・メーカー代表者8人


鴻池良一氏/スケーター会長

インバウンド需要の恩恵
【24年、取り組んだこと】

鴻池 スケーターは2024年、インバウンド需要の恩恵を受けました。販売店への売上が好調に推移しました。アマゾンや楽天など、インターネットでの販売も好調でした。

24年発売した中で反響の良かったもの、高い評価をいただいたのは日本のキャラクターはサンリオ「ポケモン」「クレヨンしんちゃん」などで、海外旅行客(インバウンド)からも同様の高い人気を獲得しました。

量的にも予想を上回る売れ行きでした。例えば、タオルなどの繊維製品は好調な売れ行きでした。


橋本謹也氏/中山福社長
橋本 上場企業として株主や投資家への広報活動にも力を入れました。個人投資家向けIRを実施するなど、メディアへの露出も試みました。

社長就任から2年半が経ちました。社長就任の1年目は手探り状態でしたが、一昨年は在庫の適正化などを重点課題として取り組み、2024年は体制の見直し、点検を行い、組織体制を再構築しました。

2024年5月、「中山グループの新中期経営計画2026」を策定し、適正利益の確保、最適な商品政策、新会社の発足、卸売事業・ものづくり事業の強化などを進めてきました。

 


中沢義博氏/梶原産業社長
中沢 2024年5月、梶原産業の社長に就任しました。創業から90年。電響社グループ9社の一員となって15年が経ちました。私は合併以前の梶原産業に入社しており、30年を経ました。社長就任を契機に、事業の原点に立ち返ろうと考えから、さっそく大小の改革に取り組んでいます。

当社では、得意の分野にとどまらず、さまざまな業種にトライし売上構築を前に進めてきましたが、やや無理をした売上も追いかけていたのではないかと思います。ならば、もう一度、自社の強みを発揮できるところとは何か、きちっと認識し直し、そこを深掘りしていきたい。その上で安定的成長を目指したい。

主な販路は家電をはじめ、通販・EC事業です。グループ会社の連携でテレビ通販や通販専門チャンネルに正面から取り組んでいるところです。

池永 資源は無尽蔵ではない。エネルギー価格はこの先も上昇していくと考えられますが、コストに直結し、影響も大きい。池永鉄工の対策の1つは省力化です。24年、工場内の空調環境を新設しました。今期、新しい工作機械の入れ替えが完了しました。これは人材確保の観点からも欠かせない。無人化には至らなくても、省力化対策を頭に置いていきたい。

岩﨑 岩崎工業の上期売上げはここ何年来で一番良かった。夏物用品の販売構成比の月毎の振幅が小さかったことと気候が業績回復の一因との社内評価もありますが、私は、消費者が求めている多機能タイプなど、従来品にない独自性をもった機能や性能を盛り込んだことが業績アップにつながったと考えています。

ネット販売と海外販路が特に伸びました。テレビショッピングでは高単価商品を望まれています。

クラウドファンディングに参加しました。2024年11月初め立ち上げて、発売前だったのに計画予想の10倍の受注反響がありました。弁当箱とその関連の箸箱セット、保冷ランチバッグをセット価格で先行発売でした。社員のモチベーションも上がります。ここにも進むべき羅針盤があるように思います。


廣野裕彦氏/天馬社長
廣野 売り先のホームセンターではプラスチック製収納用品やインテリア用品ついて、直近の物価高の影響もありますが、3年前のプラスチック原料高があった際、2年連続で価格改定をお願いし、その際に売価が上がり過ぎた影響もあり、なかなか苦戦しております。

山中千佳氏/ピーコック魔法瓶工業社長
山中 ピーコック魔法瓶工業は中国からの仕入れが多く、原材料高や円安の影響を受けています。価格競争を避けるため、付加価値を見出し、当社製品の保温・保冷性能が節約に貢献することを強くアピールすることに加え、製品を通じて当社のブランドを確立し、お客様の信頼を深めることが必要です。

欧州でもメイド イン ジャパン
高垣 コロナ禍が明けて、八幡化成の本社に近い飛騨高山では観光客で満杯状態です。ここで家具関連の商談会が開催され、当社も参加をしました。中部国際空港近辺で開催されたアウトドア関連のイベントでは物販の売り上げは過去最低と聞いています。アウトドア自体の人気は依然衰えないようですが、消費者はすでにモノを所有しているという状況。出展者はこうした中で、いかに物を作り、売っていくのか、苦心をされていました。

当社のドイツの取引先の話では、フォルクスワーゲン工場の閉鎖や電気自動車の売れ行き不振など、ヨーロッパ先進国の消費マインドは高くありません。半面、フランスで走っているタクシーの8割がトヨタ製だという。ハイブリッド車の技術が地元欧州メーカーを凌駕しています。小規模ながら当社もこの地域でメード・イン・ジャパンとしてしっかり売っていきたいと、熱い想いを抱きました。

●●● 3に続く
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