市川典男・象印マホービン社長 「売り場担当者への伝え方大事」
消費者は情報収集に熱心
海外旅行客による「爆買い」需要も落ち着き、国内向け商品は秋の需要に向けた新製品の提案が始まった。大きな需要増が望めなくなったなかでメーカーは新たな商品企画・提案が求められている。象印マホービンの市川典男社長の考えを聞いた。
炊飯ジャーの販売台数は落ちているが、単価アップが効いており、売上高には影響はありません。今、商品開発に力を入れ、より魅力度のある商品を目指しています。
炊飯ジャー「新・極め羽釜」は羽釜方式・南部鉄器として発売してから数年が経ち、同業他社もスペックを合わせてきたことから、さらに一段上をいく開発が必要でした。炊き上がった米のおいしさに強くこだわった。
このため、付加価値型商品の販売は売り場担当者の発する情報が一層大事になってきました。「象印マホービンの商品にはこれだけの違いがある」と、納得してもらえる勉強会・説明会で当社営業担当者が丁寧に伝えていきます。
お客との接点である店頭で象印マホービン製品を勧めていただく。
買っていただいた消費者もインターネットのレビュー欄に象印マホービン製品の評価を投稿してもらう。
既存商品でも手入れが簡単な分解できるステンボトルの栓や部品点数をなるべく少なくするなど、お客が気付かないところにメーカーとしての視点・配慮を盛り込み、改良を重ねていく。これが「ちょっといいコト、ちゃんといいモノ」のコンセプトに沿うことになります。
今、企業の品質が問われています。利益を安定的に確保できる企業としての体質の強化や改善です。実現には社員の潜在力を引き上げて、彼らが提案する企画の品質を上げていくことに尽きる。
私の仕事は、そうした商品のコンセプトや企画が「ちょっといいこと、ちゃんといいモノ」に沿っているかをチェックすることです。
今年後半、景気は厳しくなっていくという見通しです。地道にやっていきます。消費者は買い控えているようにも見えますが、丹念に商品の価格や性能機能の情報収集をしており、インターネットで調べたり、店頭で現物を確認するなど納得した上で購買する。そうした意味でも売り場担当者への伝え方が大事です。
ただ、商品の流れが滞ったりすると、たちまち価格訴求が浮上するので、売り場では付加価値を訴求してもらえることが一層大事になってきます。
(2016年5月18日、大阪市内で開かれた象印マホービン2016年秋の新製品企画商談会の会場で)
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