【帝国データバンク 調査】 主要百貨店96社の経営実態 2012 年度
アベノミクス、百貨店の業績回復を後押し
東北は黒字転換、関東も増収の企業が増加
百貨店業界に、僅かながらも明るい兆しが見えてきている。 日本百貨店協会が公表している「全国百貨店売上高概況」によると、2012 年の百貨店総売上高は約 6 兆 1453 億円と前年比 0.3%増。前年まで 15 年連続の前年割れ(2011 年は前年比 2.0%減)が続いていたことを考えると、歴史的なターニング・ポイントを迎えていることがわかる。
帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(144 万社収録)から、全国主要百貨店 96 社を対象とした 2011 年度(2011 年 4 月〜2012 年 3 月)、2012 年度(2012 年 4 月〜2013年 3 月)の過去 2 期間の売上高、損益(単体ベース)について調査、分析した。
調査結果(要旨)
1.調査対象となった主要百貨店 96 社の 2012 年度の売上高合計は、2011 年度との比較で 0.7%の減少となった。半面、利益は同 49.3%の大幅な増加。 地域別では「東北」が全 9 地域中で唯一の増収となり、損益面でも黒字転換。「中国」も黒字転換、「四国」は大幅増益となるなど、地方の健闘が目立った。
2.増収企業数 33 社に対して減収企業数は 2 倍近い 61 社に達したが、「東北」は唯一、増収企業数が減収企業数を上回っている。また、「関東」の増収企業数も 2011 年度の 4 社から 2012 年度は10 社と大幅に増加した。
3.地域別の損益分布では、黒字企業数 63 社に対して赤字企業数は 29 社にとどまった。「関東」は全 23 社中、18 社が黒字を確保している。
4.増収率ランキングでは、上位 20 社のうち「東北」から 7 社がランクイン。個別の動向をみると、大手企業ほど先行投資負担に耐えてリニューアルなどを実施、集客力を高めている事例が目立つ。
5.売上規模別では「売上規模 100 億〜500 億円未満」の準大手で増収企業数が前年度の 13 社から 16 社へ増加し、33 社が黒字を確保するなど、大手・準大手クラスを中心にアベノミクスも後押しとなった業績改善、収益の底堅さが目立つ結果となった。