白元、民事再生法の適用申請。負債総額は255億円
防虫剤「ミセスロイド」の製造元
【東京商工リサーチから】
(株)白元(TSR企業コード:290737460、台東区東上野2-21-14、設立昭和25年1月、資本金43億2473万8302円、鎌田真社長、従業員426名)は5月29日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。申請代理人は南賢一弁護士(西村あさひ法律事務所、港区赤坂1-12-32)ほか。
監督委員には腰塚和男弁護士(東京まどか法律事務所、千代田区神田須田町1-13-8)が選任された。なお、問い合わせ先として(株)白元再生対策室(電話03-3835-7563)が開設されている。
負債総額は約255億円(平成26年3月31日時点)。
大正12年にナフタリン防虫剤の製造で創業。以来、長年の業歴を重ねるとともにパラゾールやミセスロイド、ノンスメル、アイスノン、ホッカイロ、ソックタッチなどのヒット製品を次々と生み出し業容を拡大。平成21年3月期には売上高301億1400万円と初めて300億円を超えた。
また、関係会社として国内では大三(株)(TSR企業コード:830023801、高知県香南市、設立昭和40年3月、資本金9800万円、岡田守男社長、従業員70名、衛生用品・化粧品ほか製造販売)や(株)マザーズ(TSR企業コード:296505897、東京都墨田区太平2-5-11、設立平成14年10月、資本金1000万円、大沼弘明社長、従業員7名、医薬部外品・カー用品製造販売)の2社、海外では香港白元有限公司深セン工場(中国、日用雑貨製造)、白元家庭用品(深セン)有限公司本社(中国、日用雑貨販売)、UNI-KING OF HAWAII,INC(アメリカ、家庭・日用品の輸入卸)の3社でグループを構成していた。
その後、業績は順調推移していたが、25年3月期には保冷剤関連で猛暑による在庫不足と新規参入業者との競合から売上高は304億8668万円に落ち込み、事業再構築関連費用などで特別損失6億9804万円を計上し、3億6958万円の赤字となった。 この赤字により財務は悪化し25年5月、住友化学(株)(TSR企業コード:570098572、東京都中央区)に対し第三者割当増資を行い、同社が19.5%を出資する筆頭株主となった。
26年1月には、日本国内での使い捨てカイロ事業を大手医薬品製造販売の興和(株)(TSR企業コード:400028000、名古屋市中区)への譲渡を発表。同社が51%、白元が49%を出資する興和白元古河ファクトリー(株)(TSR企業コード:282296603、茨城県古河市、設立平成25年12月、資本金5000万円)で26年1月からカイロ製造を開始した。
時期を前後して当社の決算内容に信憑性の問題が浮上。これに伴い取引金融機関と支援策について継続的に協議を重ねる事態に発展し、金融機関に対し26年3月末から6月末まで借入金の返済猶予などを要請した。その一方で、各金融機関は日常の資金繰り支援を進め、26年5月頃には監査法人によるデューデリジェンスが行われる事態となった。
しかし、金融機関との再建策がまとまらず、民事再生手続きによる会社再建を目指すことになった。
なお、民事再生法の申請にあって鎌田社長は辞任し、6月1日より取締役の間瀬和秀氏が代表取締役社長代行となる。