ダイソー、下請法で公取委が勧告
公正取引委員会は2014年7月15日、百円ショップのダイソー(大創産業、広島県東広島市)に対して、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に関する勧告をおこなった。
勧告の内容は、自社商品の製造を委託している納入業者への返品と買いたたきの禁止に違反する行為をあげ、従業員と役員の周知徹底と研修など再発防止策などを示した。
ダイソーの下請法違反とは、「販売時期が終わったから」「売れ行きが悪いから」「半年過ぎたから」といった理由で、「ダイソー」プライベートブランドの(PB)商品などを返品だった。さらに返品に伴う送料も業者負担させていたというもの。被害を受けた業者は62社で、総額は1億3915万円。不当な取引期間を2012年5月~13年10月の18カ月間と認定した。
一方、買いたたきでは納入業者2社に対して事前に取り決めていた金額の8ポイント不利な単価で納入をさせ、総額で657万8897円分を値引きしていた。公取委はこの不当な取引期間を2012年11月~13年11月の13カ月間と認定した。
今回の違法行為について同社社長の矢野博丈氏は7月15日付、「勧告の行為は取引先に対して、①受領後6カ月を超えたPB商品等を返品②PB商品の予定単価を引き下げて発注」と違反事案を示したうえで、「下請け業者に対して実際の下請け代金の差額として支払いは7月4日までに完了している」と、コメントした。
ダイソーの会社案内によると、2014年3月期の売上高は3763億円という。百均業界2位で、セリア(岐阜県大垣市)は1093億円、3位はキャンドゥ(東京都新宿区)は627億円、4位はワッツ(大阪市)は417億円。
デフレ経済の追い風にのって百均業界はこぞって急成長した。上位企業はダイソーを除き、創業者が株式を公開・上場し、ほぼ順調な成長をしてきた。この間、小規模の企業買収などもあったが、経営トップの交代が進み、創業者から2代目後継者へとバトンタッチが完了している。
円安・原材料高、人口の減少化など、成長期とは180度逆の経営環境に突入した。政府がインフレ誘導へと経済政策の転換を始めたのは2013年だが、これに先手を打つように、百均業界もデフレ経済恩恵型の業態から、新たなビジネスモデルの模索が始まっており、新経営者らの経営手腕が試されようとしている。
ダイソーは店舗数が国内で2800店舗、海外にもアジアや中近東など840店舗を出店している。創業者で現役の矢野社長への評価の1つは百貨店・量販店・コンビニエンスストアに次いで、「第4の業態を作った人」とある。このほか、日経の平成の名経営者100人に選ばれたと言い、大手企業を対象にした経済誌『財界』の表紙に2度登場したと自賛する。
一方、同社の下請け泣かせの批判の声は依然として消えていない。ダイソーの違反行為は今回で2度目だ。前回の2012年3月の勧告では、下請け業者178社に対して「歩引き」として総額2億7946万円の被害を与えた。
公開企業でないため、ダイソーの成長度合いはつかめないが、企業存続のための基盤をどこに置くのか、矢野社長の展望を聞きたいところだ。
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