金田宏・天馬代表取締役社長 【方針説明会】

金田宏・天馬代表取締役社長
会社の存在意義とは
当社は1949年に太陽商事として創業者・金田保彦が東京都荒川区に創業しました。戦後、物資不足の国内でゴムや資材などを仲介する事業を始めて、その後、保彦の兄・金田忠雄と共に法人化した経緯があります。
その保彦は海外に行く際、飛行機の中で手にしたプラスチックを見て、樹脂の可能性を感じ、樹脂成形に特化した事業を行っていくということで1954年、社名を天馬合成株式会社としました。
1961年、埼玉県川口工場、67年千葉野田工場、73年滋賀工場、81年山口工場、85年東北拠点新白河工場、そして86年多くのお客様にご好評を頂いておりますFit‘sを発売しました。
88年には当時の東証2部に上場しました。同時に、海外拠点第1号となる英国スコットランド工場を建設、91には東証1部に鞍替え上場、同年当時日系企業でいち早く中国進出を行い、中山工場、95年には上海工場、2000年代に入り、深圳、蘇州工場。07年にはベトナム進出、09年からはインドネシア、タイ、23年には北米進出、天馬アメリカ、天馬メキシコをグループ化しました。
そして2025年3月14日、FHLホールディングス株式会社を主体として公開買い付けを実施し、8月18日に非公開を行い、9月1日に新生・天馬として100周年を目指し、新たな一歩を踏み出し、本日を迎えました。
今回、MBOに踏み切った思いとしては、70年以上、皆様のお力添えにより、ここまで成長することができました。ただ、大きく世界が変わっていく中で、当社も大きな決断をしなければならないと思っておりました。
長い年月の中で、成長してきた企業としての体力もありますし、将来向き合わなければならない課題を今日、天馬にいる天馬人たちが力を合わせて取り組むことでさらに100年企業を目指してワクワクする会社としていくことができるか、その判断の時であると思いました。
当社は永続し、さらに成長する企業として今回非公開化がベストであると決断をしました。
新生・天馬の目指す企業像には大きく3つのポイントがあると考えています。1つ目は社会的責任を果たす企業であるということです。非公開化を行いましたが、今後も変わることなく健全なガバナンスの維持を最優先に社会的責任を果たしていきます。環境問題への取り組みも真摯に継続する考えです。
これらについては今後、当社ホームページなどを通じて積極的な情報開示をしていく考えです。こうした情報発信によりパートナー企業の皆様をはじめ顧客やエンドユーザーといったステークホルダーの皆様とより一層、強い信頼関係を築いていきたいと考えています。
2つ目は洗練された企業文化を育む企業でありたいと考えています。当社は企業理念を土台に、それを日々実践することによって理念が文化として定着し、やがては社風として実を結ぶ、そうした企業を目指していきます。
3つ目は収益を継続的に拡大していく企業であることです。営利組織としては当然のことですが、収益拡大に努め、その成果を職場環境の改善や賃上げ、さらに積極的な投資活動に繋げ、社員、パートナー企業様、社会の3者が共に発展していけるようにと考えています。
天馬グループの企業理念
当社は社是を信、望、愛としています。これはクリスチャンである創業者が聖書に、「いつまでも残るものが信仰と希望と愛である」と書かれているところに由来しています。
当社はパーパスを人々の本能的な豊かさを支えるとしています。サステナビリティ委員会を中心として各部署の役職者たちが真摯に意見交換を約1年かけて行い決定されたものです。物質的な豊かさにとどまらず、人が人らしく生き、人間関係を良くし、人の心が潤う、そうした本質的な豊かさが社会に広がることを願っています。
それを支えていく企業となることを当社の存在意義パーパスであるとしています。これに基づき、当社は大切な価値観として、①誠実に行動する②人を大切にする③挑戦を誇りにする④なぜ? どうしての好奇心を大切にする⑤限りある資源を大切にする。この5つを当社は大切にする価値観として定めています。
その時々の世の中の風潮やトレンドだけに乗ってしまった判断は企業として慎重になっていこうと私たちは考えています。それは企業としてのアイデンティティとして持っていきたいと考えています。
(金田宏社長は2025年10月8日、東京都内で開催した天馬主催のサプライヤーミーティングで取引先関係者200人らに説明)