山中千佳・ピーコック魔法瓶工業社長 【インタビュー】
山中千佳・ピーコック魔法瓶工業社長
スピード感・小回り・フットワーク
70周年の今年、真正面からコロナ禍に遭遇したことから記念事業の一部を先送りしたという。今年をどう締めくくり、2021年に向かうのか。就任5年を経た山中千佳社長に聞いた。
コロナ禍をきっかけに生活習慣や価値観に変化が起きてきました。同じように企業にも変化を促しています。当社では企業理念に――「食」に「感動を」として掲げました。70周年を迎えたのですが、コロナ禍を機会に問題課題としてきた事案に取り組むことにしました。スピード感と小回り、フットワークを盛り込んでいきます。目標達成は5年後の75周年を目途としました。
2015年、社長に就任以来、「女性目線による商品作り」に力を注いできました。家事の軽減で言えば部品をなるべく少なくし、洗う手間や使う際の煩雑さをなくしていく商品です。子育てや家事作業といった女性たちの暮らしに役立ち、心地よい生活を支援するピーコックを目指す。「ピーコックははいいもの作ってくれるよね」という評価を得たいと考え、実践してきました。
消費者の問題解決を求める声が当社に寄せられています。ここで大事なのは私たちが安易に「ノー」と言わないという姿勢です。以下に難題であっても、粘り強く受け止め、明日につながる解を追求していくメーカーであり続けたい。
制度改革では人事考課制を採用する一方、小単位の組織ごとに目標課題を掲げたチーム型経営を進めていきます。部署ごとの目標の設定と達成に向かう。
何事につけトップダウンだった前会長(山中茂弘氏)に比べて私には経験・体験の事例が少なく、それだけに社員1人1人の意識や行動規範とチームワーク・連携意識がとても重要です。自発を促すために職場環境を整えていきます。
商品開発では数年来、ステンレスボトルに力を注いできた一方で、今秋、新タイプのホットプレートを3機種を年末商戦に向け投入しました。調理家電でコロナ禍で失った業績を挽回したいと考えています。
ステンレスホットプレート(商品名・ミスターステーキハウス)は、「家族サービスのため、父親がプロ並みのステーキを振舞う」というストーリーです。商品開発にはステーキハウスに勤めるプロのシェフを招きました。お店のような「もてなし」、家庭ならではの「団らん」、これらの雰囲気を演出するにはどのような性能、機能が必要か、プロの視点の意見を求めた上での商品化となりました。PR動画の制作にも熱が入りました。来春も継続機種を発表する予定です。
2021年2月、ステンレスボトルもピーコックらしい新タイプを発表できるよう進めているところです。