山中千佳・ピーコック魔法瓶工業社長 【インタビュー】
山中千佳・ピーコック魔法瓶工業社長
女性目線が功を奏す
女性の関係者が少ない家庭用品業界の中で、2015年7月、ピーコック魔法瓶工業社長に就任後、得意先から、「女性の目線を生かして」との要望を受けた商品が発売されている。2018年、提案される商品や企画はどんなものか。
――社長就任から2年半が過ぎました。
山中 力を入れてきたのは企業の規模に見合った軽いフットワークや、柔軟な対応で、小回りを利かせることを心がけてきました。
OEM商品を提供できる得意先も首都圏を中心に増えてきました。当社の既存品を活用していただいた事例ではステンレスボトル、マグボトル、ダイレクトボトルなどがあり、デザイン面などの評価を頂戴しています。発注先オリジナルブランドでも実績があります。
――社長就任時、得意先は女性目線の商品開発を要望されました。
山中 「女性の経営者という立場を生かして」、という声を多く頂き、商品開発に反映させてきました。
2017年秋冬向け200mlサイズのステンレスボトルマグタイプAKB-20を発売しました。柔らかなピンクが光るローズ色とベイシックでありがちな奥行きを感じさせるネイビー色の2色で展開したところ、都市部の大型専門店を中心に人気を集めました。
女性は身に着けている服装のセンスと合わせたり、着てみたい服の色に近付けるなど、特有の購買傾向がうかがえます。
そうした心理や傾向を想定しながら商品を作り込みました。検討を重ねに重ねた甲斐がありました。客の年齢層を高めに想定したのも正解でした。こうした発想を大事にしたいと考えています。
――シンプルなデザインのAMZシリーズも人気です。
山中 600ml、800mlの大きめのマグタイプで、きめ細かなニーズを集めて16年、発売したものですが、17年400mlを発売したところ女性客に受けました。「好みに合うタイプを探しているけど、見つからなければ買わない」。女性らしい購買心理ですね。色や重さ、ミリ単位でサイズの検討をしました。
――女性のバイヤーが増えていることもいい影響を及ぼしている。
山中 得意先の女性バイヤーから厳しい意見、指摘をいただきますが、要望にはきちんと応えていきたいと思っております。
社内ではデザインに止まらず、品質や安全面についても細かくダメだしをしています。
便利・使い勝手・イメージなど、使う人の「自分にぴたりな商品」であれば少々高額でも受け入れてもらえると思います。
――女性社員の活躍は。
山中 営業とデザインに在職しており、営業担当はきめ細かな企画で、デザイン担当の2人は対照的な発想をするので、「提案に厚み」が増したなど、それぞれの評価をいただいてます。
――来期の見通しについて。
山中 商品開発に力を注ぐ。メーカーとしてのこだわりを商品に盛り込む。こうでなければ商品は消費者に届かない。メーカーとして心に刻んでいます。
女性営業社員の増強をしたい。設計技術部門では増員を決めています。来期(3月期決算)、ピーコックらしい商品開発に力を入れていきます。
東京オリンピック開催の2020年は創業70周年に当たるため、新たな企業イメージへとけん引する商品も計画しています。