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2015年03月12日

あらもの図鑑 (とんぼの本)

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『あらもの図鑑』(とんぼの本)
松野 弘著
単行本: 125ページ
出版社: 新潮社 (2014年11月発行)

箒、ちりとり、バケツ……丈夫で長持ち、シンプルで使い勝手良し。荒物雑貨の目利き、「松野屋」店主が選ぶ日本の生活道具150点。

トタンのバケツ、たらい、ちりとり、木の洗濯板、昔ながらの箒やはたき、ワラの釜敷き、シュロのたわし、ゴム長靴…日常の暮らしの中で使われてきた「荒物」を、もう一度見直してみよう。

日本の職人さんや町工場で生み出される道具は、無骨ではあるけれど、丈夫で長持ち。シンプルで使い勝手良し。使い込むほどに味が出る日本橋馬喰町の荒物問屋「松野屋」店主が自信を持って選ぶ、普段使いの暮らしの道具130点を紹介。生産現場も詳細にルポ。

本書は、「暮らしの道具 松野屋」の店主 松野弘氏による本です。氏は、若い頃に京都の布鞄で有名な「一澤帆布店」でかばん制作の修行の経験をした経験がありますが、後に、家業の鞄問屋を現在の「松野屋」のような取扱い品目に代えて現在に至っているようです。

日本の昔ながらの荒物屋に並んでいた数々の手仕事の品について紹介した本ですが、昭和の時代の昔ながらの埃っぽい雑多な「荒物屋」そのものを再現しているのではなく、「きちんとした手仕事によってできあがった品々を発信する」という理念を持つ荒物屋の視点で紹介しています。

単にきれいな写真入りで製品が紹介されるだけでなく、いくつかのものについては、その制作過程や製作者の説明や写真があります。

本書で紹介されている品々の中には、「これは欲しい。すばらしい」と思うものが多いのですが、一方では「現代の生活状況では、もうニーズが少ないのでは?」と思うものもあります。

それでも私は、プラスチックだらけ、安物だらけの生活のクオリティの低さを痛感して、これからは良い品、自然素材のしんどくない品をも求めていこうと思いました。日常にまぎれて安直に流れている暮らしぶりに再考を促す本でした。
(AMAZON「BOOK」データベースから)