2024年度国内EC市場規模 「生活雑貨」など2兆5616億円 【2】


生活雑貨、家具、インテリア
本カテゴリーは、家事雑貨(食器台所用品等)、家事用消耗品(洗剤やティッシュ等)、一般家具、インテリア(カーテン等)、寝具類により構成される。
2024 年の BtoC-EC の市場規模は 2 兆 5,616 億円となり、前年比で 3.62%増加した。EC 化率は 32.58%である。総務省統計局家計調査によれば、2024 年の 1 世帯あたりの「生活雑貨、家具、インテリア」の年間平均支出は 81,734 円と、2023 年と比較すると1.9%増となった。
日用品や雑貨に関して、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においては外出を控える行動により普段使いの商品のストック需要の高まりと共にネットでの購入が増加したが、2022 年には需要が一服し伸び率は鈍化し、2024 年もその傾向は継続している。
家事雑貨、家事用消耗品は取扱品目数が非常に多く、また個々の商品単価が安価であるため、販売側の立場では品揃えとコストとのバランスが課題と想定される。
また、送料との見合いから単価の低い日用品のまとめ買いのニーズや、他の商品の購入に伴う「ついで買い」に支えられている面も強いと想定される。近年、購入頻度の高い消耗品についてはサブスクリプションの利用が広がっている。
日用品は消費サイクルが早く、中長期的な使用が見込めるため、サブスクリプションに適した商材と言え、EC 市場規模拡大への寄与が期待される。また、食品分野でも広がりを見せているクイックコマース(EC を介した即時配達サービス)が日用品分野においても取扱いが拡大しているという動きもあり、新たな需要の取込みにつながる可能性がある。
家具やインテリア商品について、巣ごもり需要の一巡感や、外出機会が増加したことで室内を充実させるニーズにも落ち着きが見られ、市場の伸びは鈍化したものと見られる。家具やインテリア商品は、一部物理的なサイズが大きいこともあり、豊富なラインナップを取り揃えるには売り場や在庫の制約がある。
また、サイズや色に関して、各家庭のニーズに合わせて様々な取り揃えが求められるといった事情もある。この点、EC サイトでは同じ商品の色違いやサイズ違いの掲載が可能となり、また家具類を利用した部屋のコーディネートもパターン別で紹介することができる。従って、家具やインテリア商品は EC 販売と相性の良いカテゴリーと言える。
また、拡張現実(AR)の技術を使い、家具やインテリア商品を自宅の部屋に置いたイメージをスマートフォンで確認できる機能を提供する事業者も増えている。こうした技術の活用により、購入前に実店舗で実物を確認したいといった需要が根強い家具やインテリア商品について、部屋の広さや雰囲気に適しているかを把握しやすくなり、EC での購入の抵抗感を薄める一助となっている。
さらに、実店舗と EC を融合した OMO(Online Mergeswith Offline)戦略を推進する事業者も増えている。EC サイトやアプリで店舗の在庫や店内の商品の場所が確認でき、店舗では EC サイトへの誘導 POP から、商品の色やサイズの組み合わせを確認できる。こうした販売チャネルの枠を超えた購入体験の提供が、市場規模の拡大につながることが期待されている。