創刊から51年続く日用品・生活雑貨専門の業界紙です。話題商品・業界最新情報をいち早くお届けします。

生活雑貨の業界紙:リビングタイムス
トップ > インタビュー > 橋本謹也・中山福社長 【インタビュー】
2022年07月20日

橋本謹也・中山福社長 【インタビュー】


橋本謹也社長

百周年へ4つの経営課題
6月、社長に就任しましたが、中山福は3年後に創業百周年を控え、経営戦略として、「卸売業の拡充」、「物流体制の強化」、「ものづくり事業の強化」、「EC事業の拡大」の4つを掲げました。

【卸売業の拡充】
卸売業の拡充とは多様なメーカーの多様な商品を多様な小売業に約束通りに届ける一方、そこから収集した情報を「有益な情報」として製販両者に還元し、卸売業としてさらに深掘りをしていきます。

【物流体制の強化】
物流体制の強化とは、一つは関東から東北エリアの物流を安定稼働させるため、東関東支店に倉庫を増築し、関東支店・東関東支店・関東支店仙台営業所の3拠点に再編し、物流能力を強化させました。

あと一つ、西日本の核となる拠点について検討を重ねているところです。

北海道から九州・沖縄まで全国7支店2営業所が営業・物流の両面で信頼を築いていきます。

【ものづくり事業の強化】
ものづくりとは自社ブランド「ベストコ」にとどまりません。プラスチック製品製造業のグリーンパル(新潟県三条市)、独自性のあるデザインで付加価値のある照明器具などを作るインターフォルム(神戸市)を統括し、相乗効果をねらった事業です。

ベストコの商品はSKU単位で5%、売上高ベースで11%を占めています。今後の注力分野はガーデニング関連用品やアウトドア用品などを計画しています。ものづくり事業は、卸売事業と共に当社の経営基盤を支える上で重要な位置付けの事業です。

また、海外戦略の一環として、ベストコの生産拠点を中国や韓国以外にも手当をすることも今後の課題と考えています。

【EC事業の拡大】
コロナ禍の影響で新たな生活様式が定着してきました。これを受けて当社でも2月、EC事業部を立ち上げました。グループ会社のネット会社(株)ENICYでもベストコ商品の販売事業を担っているほか、大手のネット会社や地方都市で展開されている通販サイトとの取引業務など含め、当社グループのEC事業全般を統括する、コントロールタワーとしての役割を担います。加えて、集約した情報をもとに営業提案の更なる強化や、商品開発に活用することも狙いです。

社員へは直に伝えたい
社長交代による大きな方針変更はありませんが、4つの経営課題を実践していくため、社員への呼び掛けは私自身が各支店に足を運んで直に伝えたい。

私は入社5年という経歴です。社歴の長い社員たちとの温度差はあるかもわかりませんが、現場へ足を運び密なコミュニケーションを重ねることでその差を縮めていきたい。

このタイミングで100年を営んできた会社の経営者トップに選ばれたことはありがたい。3年後に創業百周年を迎えますが、従前の4つの課題をきっちりやりこなしていきたい。そこから次の100年も見えてくるでしょう。
(2022年7月14日、中山福・大阪本社でインタビュー)