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2017年09月19日

【インタビュー】 糸藤夏樹・梶原産業社長 「引き継ぎたい社風も」


  糸藤氏が電響社(大阪市)の子会社・梶原産業(大阪府東大阪市)の代表取締役社長に就いたのは2017年5月30日付。家電メーカー、健康美容機器メーカーなどを経て、梶原産業では取締役・営業統括部長に就任。当面の取り組みなどについて聞いた。

――社長就任を契機に、社員に指示されたことは。
糸藤
 「取引先と交わした約束を守る」「業務上の報告・連絡・相談の実践」「迅速な対応に徹する」――この3つが商売の基本であり、着実にやり遂げることで、相手先から信用を得られるでしょう。

――得意先を訪問されて。
糸藤
 取引先の小売業は各社とも掲げた目標・方針に沿ってられ、「決して安いものを売りたい」というわけではないと受け止めています。従業員が5分、10分の接客の中で、高額の商品を選んでくれることがベストと、経営者は考えています。売り場の担当者も売り上げが第一ですから。

――新規開拓では。
糸藤
 2016年から専任の担当者を充てています。来るものは拒まず、チャンスは逃がさず、新しい帳合いの獲得には積極的でありたいと考えています。売上高は企業にとっての源泉ですから。

販路の偏りがないようバランスには留意しています。明確な引き継ぎ事案ではないが、この社風は生かしていきたいと考えています。

――販路について。
糸藤
 大手通販はインフラ拡大が一段落し、利用者の初期購入が一巡したためか、回収への比重を高めているようです。
GMSの売り場は縮小傾向で、客の行き先としてホームセンターやドラッグストアに向かうでしょうから、GMSの分を補いたい。

経営統合に力を注いできた大手ームセンター(HC)は効率的な業態へと変えていきました。一方、特定の地域に根差しているHCでは店の主張・個性などを前面に押し出しています。店員も売りたい商品をきっちり接客できる能力を備えています。これは強みです。

――家電小売店では。
糸藤
 家電系が家庭用品の売り場を充実化させようというのはごく一部に限られます。
この販路では家庭用品業界の卸として、メーカーが薦めたい商品など、今後もタイムリーに提案をして、期待に応えていきたい。

食品系のスーパーマーケットでは、食品と家庭用品の融合が課題にあがりますが、ベンダーが異なるだけでなく、納品日や発注者なども違う。売り場間の垣根を越えるという融合は難しい。

ただ、便利な商品や有益な道具は当社でも扱っています。ただ、われわれがそうした機能的で個性的な商品の存在に気付かず、商談をしていることも反省しなければなりません。4500万世帯に家庭用品が売りつくされたとは言い切れません。売る側・提案する側ともに今一度、見直すことも大切だと思います。

――海外事業は。
糸藤
 36年後(2053年)、日本の人口が1億人を割り込むとの厚生労働省の予測に沿うと、市場を海外に求めていくのは自然な考えですが、進出の意志があってもメーカーの協力がなければ実現できません。単発の商談は今でも少なくないが、持続的な展開にはそれなりの環境整備が必要です。

ただ、各事業所責任者には引き合い、打診などの情報収集は指示しており、機会があればと考えています。

――2016年度の年商はおよそ70億円でした。
糸藤
 年商100億円は特段意識してません。GMSの既存店の閉鎖と売り場縮小。食品スーパーでも減少。HCはPB商品を増やしているといった環境の中で、当社が30%成長へと押し上げる市場や販路が目前に存在するでしょうか。

2009年、電響社グループに経営統合されたことを念頭に置き、グループ企業として存在の枠を超えていく意識を持つことが大事だと、幹部社員には発信し続けています。

社会人になりたてのころ、「売上高は世の中における貢献度を表し、利益はその企業のお役立ち料」と、教えられました。

――当面の課題は。
糸藤
 納品率98%の維持です。関係者間のコミュニケーションのほか、営業担当者の素早い対応、それを支える組織といった要素が大切です。全社的に取り組んでいます。これも経営統合以来、明確化している目標の一つです。

梶原産業株式会社
大阪府東大阪市荒本北3丁目3番3号