❸ 座談会 家庭用品業界の今 問屋・メーカー代表者8人
商品プラスアルファ提案 お客様が買いたい商品を作る
【取引先のニーズ】
橋本 中山の考える卸売業とは自社の強み、良さをきっちっと盛り込みながら売り場・棚を構成していくというシンプルな業態です。物流ハードウエアでハイテク重装備を投資するものではありません。取引先小売業からは、納入業者を束ねる共同配送の要望もでてきています。卸売業が提供できる付加価値の1つとして貢献できるのであれば進めていきたい。
当社が取引させて頂いているメーカーは300社、取り扱い商品数は6万点強です。当社主催の見本市では、企画提案コーナーとして「タイムパフォーマンス」「コストパフォーマンス」など、取引先の方々に響く提案を積極的に行っています。引き続き、価値のある情報の提供、商品プラスアルファの提案をしていきたと思います。
中沢 物流のコスト増が大きくのしかかっています。梶原産業と取引のある物流業者数は10数社に上ります。特定の地域に特化した業者との取引もあります。業者依頼を含めて物流の在り方を直す必要を感じてきました。グループ会社間による共同配送、納入取引先1社に対して共同の配送をするなど、現状よりもきめ細かな対応をしていきたい。
現状、物価高で消費は停滞しがちですが、おカネを使いたい客層は一定数います。ニッチな客層は存在します。
通販、テレビショッピング、生協、カタログ販売などは広い市場を想定していますが、ニッチな市場にも注視しています。
また、デジタル化が進み、WEB注文が主流となる部分はきっちりと意識して対応していますが、一方でシニア世代はまだデジタル化に対応できず電話、ファクシミリ注文に安心や信頼感を感じている事も事実です。
デジタルとアナログの融合を意識した事にきっちりと取り組んでいる媒体も注視していきたいと思います。
池永 物価高は家庭用、普及品メーカーにとって向かい風で、高額品におきましても以前のようなインバウンド需要による好景気は見られません。
リアル店舗での売れ方はさらに変化し、ウエブサイトからの注文が主流となってはくるでしょうが、雰囲気づくりに工夫し、接客をしっかりされている売り場では明るさは見えてくると期待を寄せています。
池永鉄工が経営する飲食部門では「おカネを使いたい」という人も一定数存在していると実感する機会がたびたびありました。お客様は耐久消費財も、食料品も、気に入った商品なら値上げがあっても抵抗なく購買します。こういった客層には、お店の雰囲気と接客があれば買っていただける。買いたい商品を作る、話題に上る商品の提案を欠かさない。小売業との情報共有をしっかりしながら物づくりに励んでいきたい。
山中 リアル店舗では価格選択が厳しくなっており、適切な商品投入に加え現場での実演販売が有効だと感じています。お客様との直接の対話を通じてニーズを収集し、店頭での売り場づくりや提案力を強化し、棚取りにつなげていきたいと思います。ピーコック魔法瓶工業は代理店や流通業との連携を重視し、引き続き取り組んでいきます。
成熟商品も工夫次第で
【商品開発・販路開拓】
廣野 現在、天馬は商品開発に力を入れて進めています。しかし、当社の主力販路であるホームセンターにおいては、5~6年前と比べても売り場に大きな変化が見られず、品ぞろえやカラー展開、納品しているメーカーもほとんど変わっていないため、お客様にとっても新鮮味が感じられない状況だと考えます。
売り場を任せていただいていることから、商品開発を進め、商品を入れ替えていくことが重要ですが、収納用品は形状面で引き出し式、ふた式、とびら式など選択肢が少なく、付加価値を付けるのは簡単ではありません。まだまだ工夫の余地があるため、商品開発をしっかり進めていく必要があります。
改めて、プラスチック製の収納用品に特化した商品開発と営業戦略を展開していこうと考えています。さらに、物干し関連品も継続していきます。
問屋や小売業からのPB商品化の要望が増えています。これまでは発注単位の調整などを理由に見送ることが多かったのですが、小ロットでも対応していくことが重要だと考えています。
●●● 4に続く ●●●