吉川利幸・吉川国工業所社長 「2021年課題は環境と食品衛生も」
吉川利幸氏
「地球も守ろう」とうたう環境への取り組みは総論から、国やテーマごとの課題へと移行し、日本でも実践する組織が機能し始めた。これに衛生関連の問題を加えたのがプラスチック日用品が向かう課題の1つ。
プラスチック日用品メーカーの吉川国工業所社長の吉川利幸社長は、「法整備が整い、いよいよ私たちの業界でも真正面から取り組まなければならなくなった。プラスチック製品の販売に携わる企業は製造業に止まらず流通業など広く、それぞれに当事者意識をもって臨む姿勢が求められています」と、話している。
これはリビングタイムス主催の座談会(2020年11月、大阪市内で開催)に出席した吉川氏が2021年への課題の1つとして掲げたもので、以下、その要旨。
2020年6月、改正食品衛生法の器具・容器包装のポジティブリスト制度(対象:合成樹脂)の施行がスタートし、この法律が今後、私たちの業界に大きな影響を及ぼすでしょう。
同年6月、新たに「食品接触材料安全センター」が設置されました。ポリオレフィン等衛生協議会、塩ビ食品衛生協議会、塩化ビニリデン衛生協議会の3団体が改正食品衛生法に対応して円滑に継続できるよう、関係する企業・団体の束ね役を担い、政府機関との調整を行っていきます。
私たちメーカーではこの法律に沿った対応が迫られています。
2019年、「プラスチック資源循環戦略」は経産省が中心となり、省庁横断的な取り組みがされています。世界規模でプラスチック資源を循環活用するという狙いです。
プラスチック廃棄物のリデュース、リユース、徹底回収、リサイクル、熱回収、適正処理などを行う。レジ袋の有料化に象徴されるように、プラスチック資源循環体制を早期に構築し、プラスチックごみによる海洋汚染を防ごうという取り組みです。
「容器包装リサイクル法」の適応範囲にプラスチック製品も入れてはどうかという議論もされています。これが適応されると私たちのプラスチック製品にも回収義務とコスト負担が発生します。プラスチック日用品や関連の流通業界にまで影響がSDGs(持続可能な開発目標)に取り組まねばなりません。