イノマタ化学・猪又晶介社長 【インタビュー】
猪又晶介社長
「円安・原料高」どうする
長らく一皿100円だった回転寿司が一部大手によってその看板を書き換えるところとなった。百円ショップにとって他山の石ではなく、売価の変更も予想される状況にある。百円業界が主力販路でもあるプラスチック商品の専業メーカー、イノマタ化学(堺市)の猪又晶介社長に百円業界が直面している課題について聞いた。
「均一」書き換えも
回転寿司大手チェーンは夏から秋にかけて値上げをしました。売価設定は各社によって違いますが、円安や物流コスト、食材の上昇が理由に上げられ消費者には概ね、受け入れられているようです。
他の外食業界や食料品・飲料品なども再三値上げされ、特に食料品の値上げ幅は大きい。
百円業界もほぼ同じ状況で悩んでおり、大手百円ショップも対応に苦慮されている様です。
なかでも、輸入品に頼る業者にとってはさらに厳しい環境です。「現状維持で乗り切る」という段階は超えているようです。完成度の高い商品であっても百円市場から消滅する危機に直面しています。こんな状況が続けば百円ショップの魅力が薄れていきます。納入業者も、大手百円ショップも課題として取り組んでいくことが大事と思います。
当社ではすでに今春から値上げを実施しました。それぞれの事情で、値上げを即座に受け入れられないお客もありましたが、概ね了承されました。
今回は、1㎏当たり130円だった原料樹脂の価格が230円~240円に高騰。原材料だけでも約2倍にはね上がりました。その他に副資材・運送代なども上がっています。今迄ワンコインで販売すればレジなども簡単でしたが価格を120円~130円にすればレジの煩雑が予想されます。しかしここにきてキャッシュレス決済や自動レジなども登場してレジの混雑も緩和されてきています。価格を改正するには良いタイミングではないかと考えます。
当社の百円業界への販売比率は約50%です。百円商品に限らず、「商品はわかりやすく、独自性を大事に」という姿勢で取り組み、企画開発の工程に相当時間を費やしています。副資材にもこだわり、念には念を入れた手順を踏襲しています。
企画から商品発売まで半年、一年を費やすこともあり、得意先の小売業からせかされることもあります。開発時間が長引けば、コスト意識の観点からは課題ありです。
功罪両面がありますが、商品の不具合の発生を抑え、取引先の高い評価を得て、社員の良品を提供することへの高い意識をみると、「功多し」と受け止めています。
ひとつの事例として、冷凍庫・冷蔵庫からそのまま電子レンジで加熱、内部の蒸気を適度に逃がす、そして主婦の課題であった洗い易さを追求した「楽ちんパック」シリーズは売上貢献度が圧倒的に高く、8年前の発売以来から大変ご好評頂いております。