【トップインタビュー】猪又晶介・イノマタ化学社長
猪又晶介・イノマタ化学社長
年間出荷個数が200万個を超えるという実力型商品も複数製造販売しているイノマタ化学(堺市)。運賃やパートタイマーの人件費の上昇、「物価2%アップ」を掲げる国の政策もあり、これからどう舵取りをしていくのか、猪又晶介社長に聞いた。
こだわる「うちの味付け」
――均一小売りの経営者の世代交代が一巡しました。
猪又 企業のコンプライアンスやルールの透明化など、経営改革が一層進められるでしょう。企業再編も予想されます。
多様な均一業態へと進むでしょう。300円均一も登場しましたが、100円均一の勢いは弱まらない。均一商品は世界各国でその価値が認められており、簡単に崩れることのないビジネスモデルです。
当社の事例をみても単品出荷で年間100万個~200万個を超える貢献度の高い商品は複数あります。百均市場のパワーを実感しています。
――どのような姿勢でもの作りに臨んでこられたのですか。
猪又 お客様(消費者)に分かりやすい商品を最優先してきました。商品の見栄えやデザイン、パッケージには気を配ってきました。
陳列の仕方や売り場の雰囲気なども大事です。こうしたものが合わさったのが商品で、それを価値として認めればお客様は買ってくれます。
売り場は常に変化してます。ホームセンターやGMSなどのリアル店舗、スマホやテレビなどの通販、時代によって商品と消費者との出会い方が変わってきました。変化をつかむような姿勢で商品と向き合ってきました。
物流面でも特に100円ショップ向けにピッキングサービスを提供してきました。得意先小売業の評価も高い。得意先の要望に沿うよう力を注いできました。
――そうした信頼が「イノマタブランド」にもつながります。
猪又 同じ品目でも、こだわりのある味付けをする。必須の条件です。商品の企画、商品やパッケージのデザインなど、現在、商品企画部には11人が就いています。
協力工場との連携でも「安い・早い」がすべてでないという考えです。コストの在り方、納期のタイミングなど、「無理なく、ええ按配(あんばい)」になるよう折り合う。
丁寧に仕事を進めていくことが、欠品や不良品の予防につながる。
社内でも個々に特別な秀才を求めたりせず、チームワークを取りながら仕事を進めてくれる人を評価しています。社員の力が結集できれば定めた方向に進めやすい。
――全社的な課題として。
猪又 時代の流れをつかむことが大切です。自分なりの見方がしっかりすれば、商談などにも生かされます。姿勢がぶれてしまうと実りない。
――今後の展望を。
猪又 現在の販売構成比率は均一業界が50%で、新規取引の分が上乗せされ、比率は上がる見込み。スーパー・量販店・ホームセンターが20%。このほか輸出、ギフト、通販、電気量販店や生協などがあります。
得意先小売業が多様化すれば、労働集約型のピッキングサービスが強みとして生かせます。
年商100億円を視野に入れていきますが、早晩にというわけではありません。