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2021年12月31日

12兆円 2020年度ネット通販市場規模


「生活雑貨、家具、インテリア」2兆1322億円22.3%増
経産省が2021年まとめた2020年度の物販系分野のBtoC-EC市場規模は前年度に比べて21・7%増の12兆2333億円だった。このうち、「生活雑貨、家具、インテリア」は22・3%増の2兆1322億円。全販売に占めるECでの比率を示すEC化率は26・0%で、前年度に比べて3・3ポイント増えた。「その他」を含めた8分類の「書籍、映像・音楽ソフト」「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」についでに上位3位の位置にある。高いランクと高いEC化率は通販市場との相性の良さを表したもの。

【推定市場規模と動向物販系分野】
▽生活雑貨、家具、インテリア
本カテゴリーは、家事雑貨(食器台所用品等)、家事用消耗品(洗剤やティッシュ等)、一般家具、インテリア(カーテン等)、寝具類により構成される。2020年のBtoC-EC の市場規模は2兆1322億円となり、対前年比で 22・35%上昇した。EC化率は 26.03%である。

BtoC-ECの売上の内訳は、約 7割が家事雑貨、家事用消耗品、残りの約3割が一般家具、インテリア、寝具類である。

総務省統計局家計調査によれば、新型コロナウイルス感染症拡大のもとで2020 年の1世帯当たりの「生活雑貨、家具、インテリア」の年間平均支出は8万3196 円と、前年比で8・2%増加した。

項目別では、トイレットペーパー、洗剤をはじめとする家庭用消耗品の支出が大きく伸びている。家具類については大きな変化は見られなかったが、在宅勤務の定着化によって机や椅子の購入が増えたとみられる。

2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において、外出を控える行動により普段使いの日用品や雑貨のネットでの購入が、自宅でのストック需要の高まりとともに大きく増加したものと想定される。

とは言え、家事雑貨、家事用消耗品は取扱品目数が非常に多く、また個々の商品単価が安価であるため、販売側の立場では品揃えとコストとのバランスが課題と想定される。

送料との見合いから単価の低い日用品のまとめ買いのニーズや、他の商品の購入に伴う「ついで買い」に支えられている面も強いと想定される。近年、購入頻度の高い消耗品についてはサブスクリプションの利用が広がっており、EC 市場規模拡大への寄与が期待される。

ECとの相性いい
家具・インテリア

家具やインテリア商品についても、2020年はステイホームによる需要を捉えることができた感がある。家庭で過ごす時間が長くなったことから、模様替えや新しい家具の購入が行われたと推測される。在宅勤務の定着化によって、机や椅子のECでの購入も多かったとみられる。

家具販売の大手企業の決算発表資料からも、ECの販売が好調であったことが分かる。家具やインテリア商品は、ものによっては物理的なサイズが大きいため、豊富なラインナップを取り揃えるには売り場や在庫の制約がある。

また、各家庭の事情に合わせてサイズ面や色に関して詳細なニーズが求められるといった事情もある。

この点、ECサイトでは同じ商品の色違いやサイズ違いの掲載が可能となり、また家具類を利用した部屋のコーディネートもパターン別で紹介することができる。

従って、家具やインテリア商品はEC販売と相性の良いカテゴリーと言える。

また、拡張現実(AR)の技術を使い、家具やインテリア商品を自宅の部屋に置いたイメージをスマートフォンで確認できる機能を提供する事業者も増えている。

当技術の活用により、購入前に実店舗で実物を確認したいといった需要が根強い家具やインテリア商品について、部屋の広さや雰囲気に適しているかを把握しやすくなり、ECでの購入の抵抗を薄める一助となっている。

さらに、AIを活用しEC サイト上で消費者の好みに沿った商品を提案する技術も進化しており、キーワード検索では辿り着けなかった商品の提案により、新たな需要の発掘が期待されている。