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2018年12月11日

ドラッグストア10兆円産業へ 続くか高成長

ここ数年、ホームセンターとドラッグストアの業績推移は対比しやすい関係にある。前年度比増減率で比べてみると、2015年度(ホームセンター2・0%増:ドラッグストア6・4%増)、16年度(0・4%減:6・8%増)、17年度(0・4%減:6・4%増)。

17年度市場規模はホームセンター3・2兆円、ドラッグストア6・1兆円。品目「家庭用品」では、7232億円(1・1%減)と、9359億円(4・7%増)だ。

商品分類品目は両者で違うので、そもそも比較するのは無理があるが、およそ両者の位置関係がつかめる。

ドラッグストアは2000年を境に成長は鈍化しているものの、前年度比が減少モードに入ったホームセンターとは明と暗の状況にある。ホームセンターは5兆円の大台には乗れないことがおおよそ分かる。

「ドラッグストア業界10兆円産業」の関係者らが言う。10数年前から、関連団体の歴代会長は異口同音「10兆円」を唱え、実現年度がたびたび先送りされてきた。

ドラッグストアの多くは「街の健康ハブステーション」を提唱している。それぞれの出店地域で自治体と「包括的提携」などを結び、社会貢献に取り組んでいるが、10兆円産業の実現化にはもう一皮、二皮以上が剥けなければならない。

コンビニ店並みの多様なサービスを展開せずに10兆円産業の2025年実現化はむずかしい。ちなみにコンビニ店の市場規模は11兆8019億円(2・3%増)、5万6344店舗である。

多様なサービス事業 10兆円けん引役は…

ドラッグストア事業は許可・認可・指定など、厚い規制に守られている。「医薬分業」に沿い、病院などの処方箋薬を販売したり、薬剤師の投入して調剤室を店舗内に併設するなど、地道な自力展開がされている。併設のない新店出店もあり、併設比率は徐々に上がるというものでもない。

ウエルシアのように深夜営業・24時間営業を前面に押し出すドラッグ企業は多くない。むしろ限りある市場の中で自社の占有率を高めるための多店舗展開や企業間の買収合併が続いている。

事業・サービスの多様化の中には「介護」もあるが、人手やリスクは大きい理由は――ドラッグストア業態は1つのビジネスモデルに沿って、どこの地域でも標準的な経営ができるという多店舗展開が身上だからだ。ドラッグストア業界は依然、同業他社との多店舗化競争にあり、10兆円産業をけん引する強力な事業・サービスは見当たらないが。

【ドラッグストアの商品分類・経済産業省】
▽家庭用品=バス・トイレ・キッチン用品、ファブリック、なべ、かま、キッチン用刃物、食器、卓上用品、清掃用品、包装用品、保安防災、避難用具等。
▽日用消耗品=住まいの洗剤、防虫剤、トイレットペーパー、芳香剤、食器洗剤、ティッシュペーパー等。
▽ペット用品=ペットフード、ペット用装飾品、ペット用医薬品、ペット用シャンプー、ペット用シーツ等。