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2019年02月25日

石川宣博・中山福社長 「ニーズあるところに売上有り」 【トップインタビュー】


   石川宣博・中山福社長

商況が厳しいのは小売り・問屋・メーカーとも同じです。今回の見本市では新商材の紹介を前面に押し出しました。当社もグループ会社と共同でオリジナル商材の開発に力を入れました。消費者にその価値を分かりやすく伝える力も大事です。

「ベストコ」の主な特徴のひとつは昨年夏、発表した園芸用品の充実です。専門業者と同じ場に並ばず、インテリア重視の商品開発を行っています。

給水機能の付いたプランター、生花に似せたフェイクグリーン、部屋のオブジェとしても楽しめるブリキ製の大型水差しなど、働く女性たちや休日祝日の増加など昨今の世相を念頭に置いた提案と言えるでしょう。

これらはグループ会社のデザインワークで印象を新たなものにし、斬新で身近な園芸用品として関心を寄せてもらう。既存品では思い付かなかった色合いも登場し、評価もいただきました。

暮らしの季節感が希薄化しており、例えば年末の風物詩だった「大掃除」が見られなくなり、清掃用品の販売は通年化しています。

汚れがひと拭きで取れるPVCマットはキッチンやトイレ用のほか、サイズを増やしてペットの餌の飛散対策用としても商品化しました。

雨傘用のカバーは防水・強度・耐久性能の高い新素材で、電車など混雑する場での携帯用として商品化したところ、多方面から注目を集めています。ランチ用品の保温保冷用のカバーやバッグも合わせて商品化しました。

フライパンでは底面に凹凸加工し、脂分摂取を控えられる健康志向を追求。権利登録を済ませており、当社ならではの商品として販売したい。

当社の自主編集企画の「吊り下げ台紙&ボックス企画」は昨秋の東西商談会で大量採用され、小売店の売り上げに貢献しています。ホームセンターとGMSには当社の強みを生かしたこの企画を引き続き提案していきます。

一方、ドラッグストアやスーパーマーケットに切り込める新商材もそろえることができました。例えば、フェイクグリーンなどは商品サイズや用途面でドラッグストア等でも好適です。機動力を生かし、スピーディーに市場に伝播していくことが大事です。

昨年(2018年)10月と今年1月、人事異動を行いました。近年、期中で異動を行う企業が増えています。当社も新しい体制づくりについては躊躇なく機敏に断行していきます。

2018年6月、物流本部を新設しました。しっかり取り組んでいくには本部制が最適と考えました。陣容・投資など細部を近々の課題としています。

今期の業績のうち営業利益をゼロと発表していますが、当社に限っては取引先との交渉による利益は実質的に経常利益とみるのが妥当かもしれません。

業績不振はようやく第3四半期で下げ止めの兆しもうかがえ、1月~3月が勝負です。利益水準の低下は競争激化や取引先の厳しい業績を反映したものですが、この環境はしばらく続くものと覚悟しておく必要があります。

販管費の上昇も大きく、今後、粗利の薄い取引は見直します。売上至上主義からは大きくカーブを切り、利益確保を最優先にします。現場への徹底には時間がかかりますが、ニーズがあるところには売上があり、利益も伴ってくるものと思っています。

反転が一年程度ずれ込みましたが、回復への準備は整いつつあります。見本市終了後、来期の業績の見通しを立て、必ず業績を反転させたいと思っています。
(インタビューは見本市の開催中の2019年2月6日、会場の大阪市内のマイドームおおさかで行いました)