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2020年11月12日

石川宣博・中山福社長 【インタビュー】


  石川宣博・中山福社長

 開催することに意義 
 コロナ禍の中、延期せざるを得なかった秋冬見本市は3カ月後、ようやく開催できました。今年(2020年)の年末年始の商戦と来春向け商材をご覧いただくぎりぎりのタイミングでした。

 当社の支店・営業所などの得意先の小売り業は、「対面の商談は見合わせ」「出張は認められない」といった慎重な姿勢を取られ、「ナマの商品情報が入らなくなった」というバイヤーのお声もいただきました。

 自分たちを取り巻くビジネス環境や商品情報を交換し合うナマの場がなくなった状態でした。「ぜひ開催を」というメーカーの協力も後押しとなり、「開催することに意義がある」という考えに至りました。

 コロナ感染のリスクは下火になったとは言えない一方で、感染拡大の防止と経済立て直しの並立が世論でしょう。

 この間、メーカーも、当社ベストコも商品開発は間断なく続けられてきました。コロナ禍をきっかけに変化していく生活習慣を織り込んだ商品開発にも取り組んでいます。こうした新商品や企画を集約し、新しいビジネスとして提案していくのが問屋・ベンダーの使命であり、責任です。

     ◎ 
 コロナ禍に遭って逆にホームセンターなどリアル店舗の小売業の利益が向上しています。比較的利益率の高い定番商品の売れ行きが良い。来店者が集中しないようチラシ投入を抑えたことから一般販売管理費も下がった。売上額がさほど上がらなくても一定の利益が確保できる状況で推移しています。

 コロナ禍が引き金となって生活に変化が起き、客の求めるものが変わってきました。業種にもよりますが、「会社に出勤するのが当たり前」という考えから、「巣ごもり」「在宅勤務・テレワーク」などへと新しい流れが起きてきました。

 このため、定番品の組み替えが一層大事になってきました。ネット販売に対抗でき得る品ぞろえをきっちりとリアル店舗に提案していくことが重要になってきました。

 ベストコの樹脂製折り畳み収納シリーズが現在、大きな反響を得ています。在宅時間が増え、身の回り品の見直しや収納の在り方に関心が高まっており、折り畳み収納は運賃コストが低く、リアル店舗の多い得意先から、「売り場の省スペース化に貢献。待望の商品」だとして、多数採用されています。

     ◎
 今、ホームセンターの企業間の経営統合など流通再編の話題が浮上しています。流動的な事案でもあり、立ち位置を見定めるのは難しいのですが、この先何が起きても立ちすくまずに受け止めていきます。

 チェーン展開の大手小売業はバイイングパワーやオリジナル商品の増強・拡充に力を注ぐでしょうが、商品調達を百パーセント自前で完結するのではなく、われわれ問屋業が補完を担うこともあるでしょう。

 流通再編は来年に向けての大きな関心事の1つです。新たな局面によって混乱を招かないために、投資など必要と判断すれば躊躇なく行っていきたいと考えています。
(2020年10月21日、「中山福見本市~2020秋冬~」会場でインタビュー)