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2020年12月28日

タイガー魔法瓶 新オフィス棟完成 2020年9月

 

ショールーム拝見 新タイガーが見えてくる
タイガー魔法瓶は創立100周年(2023年時点)への事業の一環として2020年9月、新オフィス棟を完成した。1階ショールームも「カンパニーエキシビション」として、過去から現在、未来へとつながるコア技術・製品・新時代に向けたソリューションの一部を紹介している。

 


「小判型『虎印』魔法瓶」1923年製が展示されている。本体は亜鉛板、底と肩の部分は真鍮(しんちゅう)、革風のカバー・肩掛けベルトが付いており、内部内びんはガラス製。

一見してアンティークなグッズという印象だが、 身体に沿いやすく、キャップ兼コップに注ぎやすいよう本体は楕円形。大正時代末期、すでにこの時代から魔法瓶はアウトドアを志向していた。

ショールームの展示品はこのアンティーク魔法瓶が起点となり、時代に沿って卓上型ポットは形状や色を変化させながら市場を広げていたことをうかがわせる。1970年代、一世を風靡した花柄デザインも並ぶことになった。やがて電気で湯を沸し保温する機能が付けられ、98年にはVE真空電動ポット「とく子さん」が発売された。

ステンレスボトルは80年代に登場し、屋外での活動を潤いのニーズから満たした。タイガー魔法瓶の成長をけん引したダブルステンレスボトル「サハラスリム」は86年に発売されている。

ご飯を温かく保温するガラス製のジャーは58年発売。続いて70年に電気で保温する電子ジャーが発売された。さらに炊飯器へと進み、熱源にIHが加わり、内釜に土鍋を採用という「業界初」のIH炊飯ジャーを投入し、高級化を促した。

タイガー魔法瓶は調理家電では近年、使う人にもっと寄りそう配慮、改良タイプを発売し、独自のメーカー姿勢をアピールしている。蒸気を出さない電気ケトル、ミキサーやフードプロセッサーでは動作音を抑えた良い音設計タイプなどが発売されている。

このショールーム開設の狙いは、保温・保冷など魔法瓶の真空断熱技術や炊飯器に代表される熱コントロール技術を生活の広い分野で商品化してきた歴史を紹介するほか「新たな可能性の模索、熱制御のハイテク企業を目指す」方向性も示している。「魔法瓶は家庭用品だけではない」というタイガー魔法瓶のこれからの姿勢だ。

ここでは宇宙産業、医療産業、住宅産業での新たなタイガー魔法瓶の一面を紹介している。

2018年、日本の人々は宇宙空間での国産技術の可能性に取り組む姿を改めて知った年でもあった。

タイガー魔法瓶は国際宇宙ステーション(ISS)での実験物質を格納する真空二重断熱容器の開発に取り組んだ。断熱性能(4度±2度の範囲で4日間以上)に加えて、カプセルが地球上・海上に着水する際の強い衝撃に耐える強度(40G)とする真空二重断熱容器の開発だった。

成功ストーリーは当時の新聞やテレビ報道などで繰り返し紹介された。

新分野への進出は医療や住宅の分野も念頭に置いている。医療現場の検体や細胞の長時間保冷を可能とする定温搬送容器の開発を進めている。

住宅建材でも活用を目指す高性能で長寿命の真空断熱パネルが紹介されている。真空断熱技術を応用した新しいソリューション提案である。

 

 

【タイガー魔法瓶 新オフィス】
敷地面積 2093.85㎡
延べ面積 10748.49㎡
地上6階
建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の建築物の環境性能で評価・格付けする手法で、Aクラスを取得しており、公的な信用を得るうえでメリットなどがある。